赤ワインです。
古代種・希少種の深海サメなどを狙って深海釣りに挑んでいる「深海バスターズ」。
記念すべき10回目のチャレンジでは、
あの「しんかい6500」を所有する海洋研究開発機構(JAMSTEC)のメンバーが
ついに深海バスターズに参加!!
見た目はまるで怪獣!「ゴジラ」の愛称で呼ばれている”あの深海ザメ”の世界記録級サイズが釣れました!
普通の釣りじゃ飽き足らない!深海で変わった生き物を釣りたい!
その一心で挑んでいるロマンあふれるプロジェクト
「深海バスターズ」のレポート第10弾です!
深海バスターズとは…
三浦半島の先端、城ケ島のすぐ南には、
水深1000mにもなる「東京海底谷」と言われる深海生物の楽園があり、
ゴブリンシャークの異名をもつミツクリザメを始め様々な深海ザメが棲んでいるという。
この東京海底谷で、
「古代魚や希少種、さらには新種の魚を釣ろう!」とチャレンジしているのが、
FMヨコハマのアウトドア番組「ザバーン」の企画「深海バスターズ」です。
番組の企画で、「100目釣り」、「200目釣り」にチャレンジするうちに
「もっとたくさんの魚と出会いたい!」と思うようになったDJ井手大介と僕が中心になって、
小網代の船宿「丸十丸」小菅船長の協力のもと、
まだ釣り人があまり手を出していない「東京海底谷」での釣りに挑んでいます。
これまでの9回の出撃では、古代種・希少種とまではいかないものの、
「カラスザメ」「フトツノザメ」「ヘラツノザメ」、「エドアブラザメ」
と念願の深海ザメ4種を釣り上げています。
ついにJAMSTECとコラボレーション!
そして、2月某日に行われた記念すべき10回目の出撃には、
スペシャルなゲストが参加してくれることになりました!!
なんとあの有人潜水調査船「しんかい6500」を所有している
独立行政法人海洋研究開発機構、通称「JAMSTEC(ジャムステック)」のメンバーです!
深海バスターズの活動に興味をもってくれたJAMSTECの皆さんが、
プライベートで乗船してくれることになったんです。
しかも、メンバーがすごいです!
まずは、海洋生物の研究をしている藤原義弘さん。
藤原さんは、マッコウクジラを海に沈めて深海ザメの撮影に成功した
NHKスペシャルの深海ザメ特集に出演されていましたし、
深海生物の写真家としても第一人者で、深海生物の本も出されています。
同じく深海生物、とくに海底火山の熱水噴出孔に群がる不思議な甲殻類を研究していて、
カニを語らせたら止まらない土田真二さん(写真左)。
さらに、しんかい6500のコパイロット(副操縦士)田山雄大さんも参加。
この3人は、しんかい6500で実際に深海に潜って、深海世界を見てきている人達です。
さらに田山さんは、ディープエリアのスロージギングでルアーのアドバイザーをしているほどの釣り好き。
今までエサ釣りだけで深海ザメに挑んできた深海バスターズに、
ルアーで新たな風を吹き込んでくれそうです。
いざ出航!
冬晴れで、富士山がとても綺麗に見えるなか、深海バスターズは小網代湾を出港。
この日、丸十丸の小菅裕二船長が最初に選んだポイントは、
港からもほど近く、水深が100mから500mまで一気に落ち込む三浦海底谷の入り口。
ここで水深200~300mを狙うと、
さっそくシロギスを大きくしたような見た目の定番の深海魚ギスなどが釣れ出しました。
時間の経過とともに潮が動かなくなってきたため、城ケ島東沖のポイントへ移動。
すると、丸十丸の小菅船長の娘さんで、
この春から東京海洋大学に進学が決まっている小菅綾香ちゃんが
「ニホンヤモリザメ」を釣り上げました。
ニホンヤモリザメは最大で40cmほどの小型深海ザメ。
これがバスターズ5種目の深海ザメとなりました。
この日はなぜか僕や井手君にはアタリが少なく、
丸十丸から参加した綾香ちゃんとスタッフ大河くんに当たりが集中しました。
実は、綾香ちゃんと大河くんの2人は、
ハリスを細めにして、チモトを夜光パイプで補強した改良型の仕掛けを使っていたのです。
ハリスを細目にしたことと夜光パイプによる集魚効果で、食いがよくなり、
さらに夜行パイプが鋭い歯からハリスを守ってくれていたようです。
今までに何度もハリスを切られ、悔しい思いをしてきた僕と井手くんは、
極太ハリスで仕掛けを自作してきていたので、
これが釣果を分ける結果となってしまいました。
では、ルアーの釣果はどうだったのか?
この後、ドラマが待ち受けていました。
ルアーでゴジラが釣れた?!
この日、最後に向かったポイントは、三浦半島の城ケ島と房総半島の館山のちょうど中間くらい。
地元の漁師さんから得た情報では、
「この場所は変わった魚が網にかかることが多い」そうで、
深海バスターズでも早くから目を付けていたポイント。
ところが、去年、この場所で貨物船の衝突事故があって、
沈んだ船から重油が流出したために、しばらくこのポイントを狙うことができなかったのです。
そして、今回、久しぶりにこの場所に仕掛けを落とすことができました。
ひとりルアーで狙う「しんかい6500」コパイロットの田山さん。
午後になっても疲労の色も見せずにアクションを加えています。
大きくしゃくり上げた後、ルアーをヒラヒラとフォールさせて誘う。
底から5メートルほど探ったら、また海底から探っていく。この繰り返しです。
フォール中にふっと軽くなったと思ったら、ぐーんと強く引き込むアタリが!!!
ラインはなんとPE1.2号。
もちろんロッドもライトなので、大型の深海魚ともなればとてもロッドの力では支えきれません。
ラインが切れないように魚の動きを読みながらの慎重なやり取りが求められます。
これは長いファイトになりそうです。
そのファイト中に、エサ釣りでは、丸十丸スタッフの大河くんが見覚えのある深海ザメを釣り上げました。
今までに既に釣っているヘラツノザメかと思われましたが、
後でじっくり調べてみると、ヘラツノザメにそっくりなサガミザメだと分かって、
6種類目の深海ザメとなりました。
全長は121cm。外見がどこかゴブリンシャークに似ています。
そして、まだファイトを続けている田山さんの方は、
30分にも及ぶ激闘…というにはあまりにも静か過ぎる戦いの末、
水中に黒い影が見えてきた。
船から「でかいぞ!」の声。
今までに見たことのない姿なので、深海ザメなのかどうかもまだわかりません。
この黒い影を小菅船長が慎重に玉網でキャッチし、男4人がかりで船に持ち上げました。
JAMSTECのメンバーから興奮気味に「ヨロイザメですよ!」と声が上がります。
ヨロイザメは、ずんぐりとした体型に、短くて丸い鼻、大きくてエメラルドグリーンの目が怪獣の姿を思わせ、
ゴジラの愛称で親しまれている深海ザメ。
深海バスターズで釣り上げるのは初めてです。
まるで黒い鎧を着ているかのように、鋭利なサメ肌で全身が包まれていて、
素手で触ると流血してしまうこともあるそうで、
透明なはずのリーダーは、ファイト中にサメ肌に触れたのかザラザラで真っ白になっていました。
ヨロイザメを釣ったのはシーフロアコントロール社のメタルジグ「アーク」。
重さは約300g。
同じルアーで高級魚の赤ムツもゲットしました。
このヨロイザメが深海バスターズでは通算7種目、ルアーでは初めて釣れた深海ザメとなりました。
しかも全長1.5m、体重20kgと、
JAMSTECの研究員が今まで見たヨロイザメの中でも最大のサイズだということ。
たいていが10kgほどとのことなので、かなり大きな個体です。
シーバスなどに使う太さのPEラインで、深海からこの巨体を引き上げてきたのだからすごい!
ちなみに、IGFA=国際ゲームフィッシュ協会の世界記録に申請する予定。
今回は、深海ザメも大漁でしたが、
美味しい魚もアカムツ、クロシビカマス、トウジンなど釣れて、
間違いなく今までで一番大漁!となりました!
こういう時の大漁旗タオルですね。
(早く大漁旗タオルの深海ザメバージョンも作りたいなぁ…)
もちろん今回も釣れた深海ザメのうち、元気なものは京急油壺マリンパークに提供。
今のところニホンヤモリザメは元気なので、
そのうち公開されるかもしれません。
ヨロイザメを始め、弱っていた魚はJAMSTECで研究材料として使われることになりました。
JAMSTECは深海に潜って生物を観察したり、小さい生物の捕獲したりしていますが、
大型生物を捕獲することは、普段あまりなかったようで、
深海バスターズで捕獲したサメは大変貴重なんだそうです。
内臓の中を調べて、深海での食物連鎖を紐解くサンプルにするそうですよ。
ゴブリンシャークとニアミス!?
そしてこの次の日、
深海ザメ祭りとなった今回の釣行の興奮がまだ冷めないバスターズの面々に
驚くべきニュースが飛び込んできました。
地元の漁師さんの話によれば、今回の深海バスターズで最初に狙ったポイントに近い網に、
ゴブリンシャークがかかったとのこと!
このポイントでは何度もハリスを切られたことがありますが、それも刃が鋭いゴブリンの仕業だったのか?!
次回こそ夢のゴブリンシャーク釣り上げとなるのか?今後の活動報告にご期待を!