赤ワインです。
普通の釣りじゃ飽き足らない!深海で変わった生き物を釣りたい!
その一心で挑んでいるロマンあふれるプロジェクト
「深海バスターズ」のレポート第5弾です!
前回のチャレンジでは、
体長20cmと小さいながらも、ついに深海ザメ(カラスザメ)を釣り上げました。
そして、今回は…
なんと、さらに大きな深海ザメと出会うことができました!
深海バスターズとは…
三浦半島の先端、城ケ島のすぐ南には、
水深500mをゆうに超える「東京海底谷」と言われる深海生物の楽園があり、
ゴブリンシャークの異名をもつミツクリザメを始め、
いろいろな深海ザメが棲んでいるという。
この東京海底谷で、古代魚や希少種、さらには新種の魚を釣ろう!と
チャレンジしているのが、
FMヨコハマのアウトドア番組「ザバーン」の企画
「プロジェクトZ~深海への挑戦者たち」略して「深海バスターズ」です。
番組の企画で、「100目釣り」、「200目釣り」にチャレンジするうちに
「もっとたくさんの魚と出会いたい!」と思うようになったDJ井手大介と僕が中心になって、
小網代の船宿「丸十丸」小菅船長の協力のもと、
まだ釣り人があまり手を出していない「東京海底谷」での釣りに挑んでいます。
東京海底谷の場所や、使用する道具など、
詳しくは、第1回、第2回、第3回、第4回の深海バスターズレポートをご覧ください。
深海バスターズ5回目の出撃!
5回目となった深海バスターズの出船は、2月27日。
「兵庫県で素潜り漁師の方が4mを超えるダイオウイカを生きたまま捕獲した」
というニュースが流れた2日後でした。
「次は俺たちが深海ザメを生け捕りにする!」
そんな思いを胸にしたのかどうか、
三浦半島小網代湾の船宿「丸十丸」には、4人のチャレンジャーが集まりました。
レギュラーメンバーのザバーンDJ井手大介、ぼく赤ワインに加えて、
丸十丸のご近所さんシーボニアマリーナから新通さん、大平さんがゲスト参加。
大平さんは、以前、逗子マリーナのスタッフをされていて、
その時に、ザバーンに出演していただいていたので、8年ぶりくらいの再会です。
今回も狙うポイントはもちろん東京海底谷とその周辺。
小雨が降り、うねりもある…というコンディションのなか、
この4人で深海バスターズ出港です!
潮が動くと魚が釣れる?!
深海バスターズが出船する日に限って、なぜか毎回「潮が動かない」。
潮が動かないと、魚の喰いも活発ではなくなってしまいます。
ちなみに、釣り人がよく言う「潮が動く」というのは、
分かりやすく言えば、「海水が移動すること」。
月と太陽の引力に寄って起こる潮の満ち引きや、
風や気圧など気象に寄って起こる潮位変化、
地球規模で海水が動く海流など、
様々な要因が複雑に絡んで、潮が動いたり、動かなかったりします。
潮が動くと、海水の酸素量が多くなって魚の動きが活発になったり、
魚のえさとなるプランクトンが流されて密度が濃くなってきたり、
釣り餌が潮に流され、より自然に漂うようになったり、と、
多くの場合、「釣れる条件」が揃うことになります。
「今日は、潮が動くのか?」
水深300mほど、深海世界への入口ともいえるポイントに4人が仕掛けを落とすと、
小菅船長は、潮の動きを確認します。
「今日はいつもより潮が動いているな。いいぞ。」
小菅船長の言葉の通り、1回目の仕掛け投入で…
井手くんにギス、
シーボニアの大平さんにもギス、
シーボニアの新通さんにはトウジン、
さらに、僕赤ワインには、ユメカサゴとクロシビカマス…と、
一投目から全員が同時にヒット!!
これは今までの深海バスターズでは例を見ないほどの大漁です。
ちなみに、ギスという魚、
すり身にするととても美味しい魚で、
小田原の高級板蒲鉾の原料として使われています。
井手くんは、このギスでさつま揚げを作ったら相当美味しかったみたいです。
他にも…
この高級魚アカムツを始め、ムツ、ギンメダイなど
美味しい深海魚を中心にどんどん釣れます。
今まで釣ったことがなかった…
ウケグチメバル(233目め)
オオメハタ(234目め)で目もバッチリ追加できました。
今までの深海バスターズで一番の大漁ぶりに、
潮が動いているのといないのとでは、
こんなに釣果に差が出るのかと、皆で驚いてしまいました。
秘密兵器を投入!それは…
さて、深海バスターズで、僕が心がけていることは、
エサや仕掛けなど、1回ごとに必ず何か工夫をすること。
深海バスターズのような釣りは、まだ方法が確立していないので、
自分で工夫した釣り方で挑戦するのも楽しみの1つ。
とくに誰も狙わない深海ザメを釣るとなると、
本などで深海ザメの生態を研究して、
自分オリジナルの工夫をする必要があります。
そこで、今回は、餌としてこんなものを用意してみました。
「クジラの本皮の塩漬け」です。
NHKスペシャルの深海ザメ特集で、
深海に沈んだクジラの死骸に深海ザメが寄って来たのを見て、
「クジラをエサにしたら、深海ザメ専門で狙えるのではないか?」と思いつきました。
もちろん釣具屋には売っていないので、インターネット販売で入手。
僕はクジラをほとんど食べたことがないので
詳しくは分かりませんが、
くじら汁や炊き込みご飯にして食べると美味しいもののようです。
身よりもエサ持ちがよさそうということで、皮にしてみました。
これを短冊状に切って…
鋭い歯でハリスが切られないように、石鯛用のワイヤーハリスを使います。
ついに深海ザメ現る…
実際にこれを深海に落としてみると…
やっぱりサメ以外はあまり興味をしめさないようで、
餌にしたクジラがそのままの状態で深海から戻ってくることが続きました。
また一流しが終わり、船長の「はい、上げて」の合図。
「またダメだったか」と思い、
電動リールのスイッチを入れて巻き上げ始めると…「重い!」
すかさず手動に切り替えました。
その重さに生体反応は感じない…根がかり…か?
正体が分からないので、慎重に手で巻きます。
巻き始めると、時折、抵抗を始めました。
重いけど、抵抗もそれほど強い引きではない。
今度こそミツクリザメか?そんな思いが頭をよぎります。
船で釣りをしていてサメがかかってしまった経験がある人もいると思いますが、
外道でかかる表層性のサメ、例えばアオザメやヨシキリザメは
かかると、すごい勢いで糸を出していくことが多いですよね。
ところが、エサが少ない深海に生きるサメは、
「省エネ」をモットーとして生きている種類も多くいます。
なので、泳力もそんなに強くはないのかもしれないのです。
約300mを手で巻きあげる間、
「もしかしたら…」そんなドキドキが続きました。
そして、ついに水面に現れた魚を、
小菅船長が手慣れた玉網さばきで掬い上げると…
目がエメラルドグリーンに光る1mほどの深海ザメです!
海のウネリでダウン気味だったメンバーが一気に沸き立ちました。
背びれの前縁に太いツノのようなトゲがあるので、
ツノザメの仲間だということが分かります。
このツノにはうかつに触ると大変危険です。
狙った通り、クジラで深海ザメが釣れました!
深海ザメの研究を重ね、予想がみごと的中して釣り上げた満足感というか、
要は、「ドヤ顔」してますね、ぼく(笑)。
このサメを京急油壺マリンパークに持ち込んだところ、
主に深海に棲む「フトツノザメ」だといういことが分かりました。
しかも、まだ元気だったので、マリンパークで展示されることになりました!!
明るいのはイヤ!と言わんばかりに向こうを向いています…。
僕が見に行ったときは、クエの水槽に同居させてもらっていましたが、
飼育が難しい深海ザメなので、いつまで展示できるかは分かりません。
(2014年2月27日現在)
見てみたいという方は、
京急油壺マリンパークに問い合わせてから
見に行くことをお勧めします。
マリンパークでは、開館45周年記念展「SHARK博覧会」もやってますので、
サメ好きは見どころ満載ですよ。
ちなみに、フトツノザメの学名は、「Squalus mitsukurii」。
東京大学三崎臨海実験所の初代所長だった箕作佳吉(みつくりかきち)氏にちなんだ
名前が付けられています。
…ということは…
同じく箕作氏にちなんで名前が付けられたという、
あのミツクリザメにも一歩近づいた気分です。
ついに念願の1m級の深海ザメを釣り上げた深海バスターズ。
次回こそ「お宝発見」となるのか?今後の活動報告にご期待を!